主人公は、熱い心を持った元ボクサー。
活躍する舞台は、利益主義に傾いた出版業界。
主人公は傷を負いボクサーからの転向を余儀なくされ、
先輩の紹介でとある出版社にアルバイトとして入社する。
しかし、そこは利益主義に毒された編集者と会社、
果ては漫画家が跳梁跋扈するとんでもない世界だった。
その中を、時には同僚・時には会社・時には漫画家と
ぶつかり合いながら成長する主人公と仲間の成長を描く漫画です。
変な話、主人公は終始スポットが当たらない。
主人公に触発され仲間や周囲の人間が成長する、
その過程が特にスポットされています、今思えば異色。
主人公が成長する過程に胸沸き踊る漫画は少年誌に多い。
加えて言えば、青年誌含む
全ての漫画に必ず主人公の成長要素があります。
それを意図的に省いた違和感、
物足りなさと言い換えてもいいかもしれません。
なんで、作家・原作者がこうしたか。
漫画の冒頭で主人公が『明日のジョー』を読み、
出版業界への理想を膨らますシーンがあります。
主人公が上記漫画の主人公「矢吹ジョー」に根っこの部分で似ている。
これは偶然か必然か。
必然かと私は考えます。
この漫画はこの違和感と引き換えに、
『明日のジョー』にあるような迫力・説得力を得ることに成功しています。
今の漫画は軽いあっさりしたものが多く読み応えがありません。
そんな当世の作品に対し、迫力のある本漫画には
物足りなさを感じながらもひきつけられてしまいます。
全16巻、是非ご一読のほど。
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