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【2025年02月09日15:23 】 |
かいたもの
こんにちは、Nくぽです

最近かいたものです
例によって人名を副部長に置換&フォント適当だけどキニシナイ





あるところに副部長と言うアリ同然の童貞がいた。何故アリ同然なのかと言うと、童貞だからである。何故童貞なのかと言うと、副部長だからである。
副部長であることはどうしようもないので、存在自体がどうしようもない奴である。

副部長は毎日働いている。今は春なのだが、冬に備えて家に餌を蓄えている。
幸い餌探しには困らなかった。最近そう遠くない洞窟の中に、餌がたくさん見つかったのだ。他の誰かが溜め込んだのか、餌だけが山と積まれている。然し、今誰かがこの洞窟を使っている気配は無かったので、そこから餌を失敬することにした。副部長は毎日家と洞窟を行き来して、ひたすら餌を運んでいる。


洞窟までの道沿いには、リア充がたくさん住んでいた。

リア充達はいつもセックスをしていた。そして辛そうに餌を抱える童貞の副部長を見る度に、その惨めさを笑った。
リア充の彼らと童貞の副部長に接点などなく、副部長はいつも彼らの脇をトボトボ通り過ぎるだけだった。

しかしある日、好奇心の強いリア充が副部長に話しかけた。
「そこの童貞くん。君は何故いつも働いてるんだい?」
「将来を見据えて餌を備蓄しているのさ……セックスなんて刹那的なことばかりやっていたら、冬には忽ち死んでしまうからね」
「ふうん、でもセックスは楽しいじゃないか。特に春うららかな今の時期のセックスは、人生で最も楽しいことだと思うよ」
「今楽しいかじゃなくて、将来の自分を見据えてやらなくちゃいけない事があるんだ」

副部長の愛想の無い返事に、せっかく話しかけてきたリア充もあきれ返り、それ以降話しかけてこなくなった。

季節が変わり冬が近づいても、リア充達はまだセックスをしていた。対してずっと働いてきた副部長はそれなりの蓄えを手にし、家に篭る準備を始めた。

そしていよいよ冬が来た。吹雪が容赦なく辺り一帯を吹き荒らしたが、餌の山を抱えて家に籠っていた副部長に影響は無かった。一方冬に備えていなかったリア充達は、あっという間に一人残らず死んでしまった。副部長はこの様子を見て「自分が正しかったのだ」と喜んだ。

やがて厳しい冬も終わり、再び春が来た。

自分を苦しめてきたリア充達がいなくなったことに感激し、副部長は嬉々として野原に出かけた。しかしそこでは去年と同じように、たくさんのリア充がたむろしていた。

そう、確かに去年いたリア充達は全滅している。しかし彼らがセックスをして産み落とした卵は、雪の下・木の幹・川底でしっかりと生き残り、春になった今、新たなリア充として野原に現れたのである。
今年も彼らはセックスをしていた。

そして今年も副部長は、餌を蓄えるために洞窟まで歩く。
リア充たちは去年と同じように童貞の副部長をあざ笑い、副部長は顔を赤らめてその脇を通り過ぎる。他の餌場も見つかりそうにないし、洞窟まで行く他の道もないので、来る日も来る日も童貞の副部長は馬鹿にされ続けるのである。



時は飛ぶように過ぎて冬が訪れ、その年もリア充達は全滅した。副部長はそれを見て満足な気分で冬を越した。
しかしまた春になるとリア充達が卵から孵り、セックスを始める。副部長はそれを傍目に餌を取りにいつもの道を歩いた。



ある日、いつもの様に洞窟に餌を取りに行った副部長はそこで不思議なものを見つけた。餌の山の崩れた一角に、机のようなものが見えた。
やはり洞窟には以前誰かが暮らしていたのだ。机の中には本があり、それは元々そこに暮らしていた人の日記のようであった。
日記によれば洞窟の持ち主も副部長と同じく童貞で、毎年その洞窟に餌を溜めこんで暮らしていたのだ。そして日記の最後の書き込みと残された餌から推測するに、彼はある日唐突にいなくなってしまったようだった。
副部長は同じ童貞がここまでたくさんの餌を洞窟に溜めたことを誇りに思った。その消失については不可解なものを感じたが、深く意識はせず日常の生活に戻った。


それから来る年来る年も童貞の副部長はリア充に馬鹿にされながら餌を蓄え、冬になり死んでいくリア充を傍目に引きこもる生活を続けた。



数え切れないほどそんな生活を繰り返したある冬、鏡を見た副部長は自分の姿に仰天した。洞窟を見つけた当初の、若く、まだなんとか見ることはできた自分の姿は跡形も無くなっていて、鏡の向こうには見ると吐き気がしてくるような中年のキモデブ童貞がいた。長年の餌運びで腰を悪くしたせいで、もうセックスをすることはできない。いや、セックスどころか長年誰とも話さずにいたので、もう声すら満足に出すこともできないだろう。

将来を見据えた自分の行動が正しいのだと信じていた副部長は動揺した。そして、いくら思い返しても楽しい記憶が全く無い自分の人生の虚しさに悲嘆した。副部長は楽しく野原を歩いた事すらないのだ。

自分の人生に思い悩んだ挙句、ついに頭がおかしくなった副部長は、まだ春の兆しが見えない厳しい冬の日にふらりと家を出た。

長年の習性が抜けないのか、副部長の足は洞窟へ向いた。無数のリア充達を殺した吹雪は副部長にも容赦なく吹きつけ、副部長の足取りは一歩一歩重くなっていった。そしてついには洞窟には程遠い場所の雪の上で倒れ、そのまま凍死した。最後の表情はひたすら寒そうであった。丁度野原の上でのことであった。

春になり雪が解けると、副部長の死骸は直ぐ地面に吸収された。
草木はそれを養分にぐんぐん成長して豊かな葉を茂らせ、野原の艶やかな緑となった。

そして緑の中、リア充達は春一番のセックスをしていた――。



セックスの合間、一人のリア充がおもむろに茂った葉に手を伸ばし、その一枚を千切って口に咥えた。暫しの躊躇の後、もう一枚千切ると彼女の口元へ差し出した。彼女ははにかみながら口を開け、リア充の指に押し込まれるまま葉を口に含んだ。二人は葉を咀嚼しながら見つめ合う。突然、何ともなしに二人からクスクス可笑しそうな声が漏れる。声はやがて「ははは」とより大きな、しかし軽やかなものに変わる。

――幸せのこだまはあちこちから生じ、春の野をやがて支配した。





学校だるす;;
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【2009年09月29日09:20 】 | 趣味 | コメント(3)
コメント
無題
なんか切ないっすね
【2009年09月30日 06:37】| | 幻致 #598cda9914 [ 編集 ]
無題
もうその手の感覚は麻痺したwww
【2009年09月30日 14:35】| | ぴよらい #92c881edeb [ 編集 ]
無題
キモ切ないが童貞のコンセプトだお(人・ω・)


一生童貞フラグやヾ(゚∀゚)ノ
【2009年09月30日 21:36】| | Nくぽ #55513feb96 [ 編集 ]
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